奥秩父 白泰山(1793.9m)、赤沢山(1818.9m)、大山(1860m) 2015年5月16日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 5:48 登山口−−7:41 白泰山−−7:59 避難小屋−−9:02 赤沢山分岐−−9:07 赤沢山−−大山向けて登山道を離れる−−10:30 大山(休憩) 11:04 −−13:00 避難小屋−−登山口 14:15

場所埼玉県秩父市
年月日2015年5月16日 日帰り
天候雨後曇
山行種類一般登山+籔山
交通手段マイカー
駐車場登山口に駐車場あり
登山道の有無赤沢山直下及び大山直下は登山道無し。それ以外はあり
籔の有無赤沢山直下は最初の方だけ笹あり。大山はほぼ無し
危険個所の有無無し
山頂の展望どの山頂も展望なし
GPSトラックログ
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コメント栃本広場からさらに西に延びる林道途中にある登山口から往復。天気は朝から雨で昼まで続く。今回はほとんど登山道を歩いたので籔漕ぎは無し。赤沢山は赤テープと薄い踏跡、山頂標識があったが大山は何もなし。白泰山避難小屋は立派な建物で内部はきれいだった


ルート図。クリックで等倍表示


栃本広場よりずっと西の白泰山登山口 駐車場を見下ろす
枯れた笹あり しばしトラバース
栃本広場分岐 栃本広場分岐入口。ちょっと笹がはみ出す
1330m付近の伐採地 伐採地を見下ろす。林道がきている
1360m付近の石仏 1360m付近の標識
新しい倒木あり。古い倒木は処理済み 雨のため傘が活躍
あのピークが白泰山 白泰山分岐
ちょっと薄いが道あり バイケイソウか?
シラビソ樹林へ 白泰山山頂
達筆標識 2000年6月21日設置
山頂北側の鹿避け柵 尾根上は正式登山道ではないが手入れされた個所も
石楠花開花中 縦走路との合流点。塞がれている
またトラバースが続く 避難小屋近くの石仏
白泰山避難小屋(北から) 白泰山避難小屋(南から)
小屋内部はきれい 小屋前の標識
小屋の南は「のぞき岩」 のぞき岩
のぞき岩からは南側に展望あり
岩のある区間は巻道で安全ルート 避難小屋西側の1680m鞍部
スミレ 鹿に皮を食われた倒木
1720m付近。とうとうガスに突入 赤沢山分岐。道無し標識無しだが赤テープあり
下部は笹があるが上部は歩きやすい 赤沢山山頂
山頂標識 鍾乳洞がある? 赤沢山西側巻道
1630m鞍部の石仏 1720m鞍部で廃林道に合流。北側はロープが張られている
登山道は南側の廃林道へ 廃林道は崩壊が進んでいる
廃林道終点 岩屋
ここから登山道を離れて尾根に取り付く 尾根に乗る。笹籔無し
間もなく山頂 大山山頂
登山道へ戻る バイケイソウ群生地
避難小屋 登山口へ戻る


 残雪期はもう最終盤。雪が残るのは豪雪地帯で標高が高いところのみ。未踏でまだ狙える場所としては志賀高原周辺や糸魚川と長野境界付近などが考えられるが、今週は天気が悪く雨の予報。そんな中で遠くまで出かけるのももったいない。だからといって近場の低山に登るにはもう暑すぎる。そこで思いついたのが奥秩父。ここしばらく奥秩父には足を伸ばしていなかったが標高が高い山がいくつか残っている。十文字峠から白泰山へ至る尾根上には山名事典記載の山を含めると5山(西から大山、赤沢山、白泰山、大峰山、大黒山)もあっておいしい場所なので狙いをここに決めた。

 このうち大峰山、大黒山は山頂近くまで車道が達しているので個別に登るとして、残りの3山はまとめて登ることになる。

 地形図によれば白泰山、大峰山、大黒山は登山道が通っているが、大山、赤沢山は登山道は山頂を巻いてしまっている。奥秩父で予想される藪は笹か石楠花だが、どちらも濡れた中を歩くのはなぁ。ただしどちらも登山道から山頂までの距離は短いのが幸いだ。

 登山口は一般的には栃本の少し上の「栃本広場」と呼ばれる1000m鞍部近くだが、地形図を見ると西に林道が伸びていて途中に破線が2箇所ある。ここまで車で入れれば楽ができるがゲートの有無は地図では分からない。早速ネット検索をかけると重鎮氏が白泰山に登った記録がヒット。それによれば西側の破線までマイカーで入れたとのことでゲートはなく、路面状況のみ問題らしい。こればかりは現地に行かないと分からない。

 近場なので一般道で正丸トンネルを抜けて秩父へ入る。国道140号を西へ向かい二瀬ダムを通過して「栃本広場」の案内看板に従って上がっていく。細い林道を予想していたが舗装されたしっかりした道で安心して走行できる。やがてトイレと広い駐車場の栃本広場に到着だが、地形図を見て西の林道入口へ向かうと情報どおりゲートはなく自由に入れた。林道は舗装されてこれまで同様走りやすかった。オブジェのような奇妙な形をした展望台?のある最初の登山口はパスしてなおも進むと2つ目の登山口が登場。登山口の案内標識も立っていて明瞭な道が上がっていた。登山口前は道路幅が広がっていて車を置いても邪魔にはならない。登山口の目の前に車を置いて仮眠。夜はまだ天気が良くて満天の星空で明日雨が降るなんて信じられない天候だった。

 翌朝、起きて空を見上げると星が見えない。飯を食っていると車の屋根をポツポツ叩く雨音が。まだ本降りではないので樹林の中なら雨具は要らない程度だろうが、これから強くなってくるかな。先週に引き続いて傘とゴアを持って出発。最初から傘を差したが植林に入ると雨が遮られて傘を出さなくても許容範囲で、すぐ取り出せるようザックの横に刺しておく。

 登山道は体に触れる木の枝が無いくらい整備されているので傘を差しながら歩いても問題無し。それにほぼ無風なので足元が濡れることはない。傘のいいところは蒸れないこと。ゴアがいくら通気性があると言っても私の発汗量全てをさばけるほどではなく、ゴアを着たまま体を動かすと自分の汗で濡れてしまう。弱い雨なら雨で濡れるのと汗で濡れるのと大差無しなので、私の場合は可能な限り傘で対処している。ただし強い雨や風が吹く条件では傘は役立たない。奥秩父のような樹林帯だと風が遮られるので傘との相性はいい。

 一般的に登山道は尾根直上に付けられているが、この縦走路は長い区間でトラバースするように道が付いている。最初からしばらくは南斜面をトラバース。最初は植林帯が続くが、やがて自然林へ切り替わると同時に道の両側は立ち枯れた笹原に変わる。しかし見渡す限り全ての笹は葉が落ちて茎だけ。最初は鹿に食われたのかと思ったが、葉っぱ1枚残っていないほど徹底的に食い尽くされた姿は見たことがない。思い当たるのはただ一つ。笹の開花だ。もう10年以上前だろうか。南アルプス北部や奥多摩の笹が開花し、それまで激笹藪だったエリアが嘘のようにきれいになってしまったことがあった。代表格は奥多摩のウトウノ頭(笹に乗った半端な雪で藪漕ぎが大変で疲労凍死するところだった)や南アの大唐松山。ウトウトノ頭は笹が枯れてから行ったことがないが、大唐松山は笹が枯れてから訪問。もっと昔にkumo氏がほぼ同じルートで登ったときは猛烈な笹藪だったそうだが、私が行ったときには雨池山より下では笹はまだ立っていたが全て立ち枯れて、掻き分けると茎がポキポキ折れる状態だった。

 無数の笹の先端を丹念に観察すると、いくつかの笹には花の痕跡が残っていた。ということはたぶん昨年開花したのだろう。笹が再生するまでどれくらいの期間がかかるのか不明だが、これから数年もすれば今立っている笹も乾燥して折れて地面がきれいさっぱりな状態に変わるだろう。そうすれば道がない場所でも歩きやすくなる。かなり稀な現象なので笹の開花条件は未だ不明らしいが、たぶん私が生きている間にこの界隈でもう一度笹が開花することはないだろう。

 登山道が尾根直上を掠めるところで栃本広場方面への分岐が登場。たぶんこちらは尾根上の道だと思うが、分岐の入口を見る限りは笹がはみ出してちょっと心細い状態に見えた。

 再び南斜面を巻き始め進んでいくと、突然樹林が開けて明るい斜面に変わった。南斜面が広く伐採されてすぐ下には地形図に書かれていない林道が来ている。ここは雨が当たるので傘を差したが、200mくらいで再び樹林の斜面に入って雨が遮られたため傘を収納する。

 その後もあまり変わり映えしない枯れた笹と樹林の緩い尾根が続く。雨は少し強くなったようで傘を差して歩いた。この天気では今日は誰とも会わないだろう。

 巻道が多く現在位置がわからないので高度計を見ながら白泰山を通過しないよう注意。地形図によると登山道は山頂北側の標高1700mを巻いてしまうので、1700mに達したら要注意だ。しかし心配をよそに白泰山北側の巻道には白泰山分岐標識が立っていた。ここから斜面を上へと針路変更。かなり道が薄いが周囲に枯れた笹は皆無で体に触れる藪はなく、衣類が藪で濡れることはない。

 踏跡を追って樹林帯を登っていくと山頂付近はシラビソに変わり、三角点のある白泰山山頂に到着。ここは地形図に山名が記載された山なので行政の山頂標識があった。そしてひっそりと達筆標識も。裏面を見ると設置年月日は2000年6月21日。少しペイントが剥げているが錆び等は無し。まだまだ長期間健在だろう。山頂は樹林に覆われて展望皆無だった。雨が降っていることもあり、山頂で休憩せず先に進んだ。

 尾根上は正式な道はなく薄い踏跡程度だが藪は無いので歩きやすい。山頂北西側は新しい鹿避けフェンスあり。途中、木の皮が鹿にかじられた姿はたくさん見てきたので、食害防止だろう。道が薄い割に倒木が処理されていたり、尾根上の道は放置されているわけではないらしい。

 踏跡を辿りつつ素直に尾根上を進んでいくと縦走路に合流。この分岐には白泰山の案内標識はなく、尾根上の踏跡に入らぬよう枝が横に渡してとうせんぼされていた。ただし道の濃さに大きな差があるし、白泰山方向の踏跡は西から来ると直進ではなく右に分岐なので間違う可能性は低いと思う。

 さすが正式登山道は広くて明瞭で何も考えずに歩ける。雨はやや強くなってきて北寄りの風が少しでてきた。尾根上では樹林を通して風で雨が斜めから降ってくるので傘も斜めにして対応。足元はロングスパッツで固めてあるので濡れないだろう。今日は雨漏りのする劣化したゴア靴ではなくまだ防水性能がOKな残雪期用の新しいゴア靴なので靴から水が浸入することもない。

 相変わらず巻道が多く、適当に歩いていると現在位置が把握できない中、避難小屋が登場。あれ、この尾根は避難小屋があったのか。知らなかった。外側の造りはしっかりしていて中を覗いてみると小奇麗な小屋だった。容量は10人強程度か。ストーブもあり枯れ枝が調達できれば秋でも暖かく過ごせそうだ。小屋の南側は「のぞき岩」と案内標識があり、僅かに登ると南が切れ落ちた岩壁のてっぺんだった。南半分の展望がいい場所で和名倉山辺りが見えるのだろうが雨が降って山には雲が掛かっていた。

 避難小屋からは尾根を大きく南に巻いて大きく下っていく。右手の尾根には岩が見えていてこれを避けるルートらしい。鞍部で尾根に復帰したと思ったら再びトラバース。この先は余分なピークを巻くためのトラバースのようだ。それでも徐々に高度が上がっていきガスに突入。この天気だからなぁ。それにほとんどが登山道歩きなので視界が制限されても問題はない。

 高度計の表示が1750mを越えて尾根の北側を回りこんで下り始める個所が赤沢山への最短ポイントだ。登山道はこのまま山頂を巻いてしまうのでここで赤沢山に向かう。尾根には赤テープが見られるので歩く人はそこそこいるらしい。ここにも枯れた笹があるがそれほど濃くはない。

 登りはテープは無視して枯れた笹が薄い場所を登ったが尾根直上よりやや東寄りだったと思う。途中から笹は無くなってシラビソ樹林を登りきると三角点が鎮座した赤沢山山頂。ここは白泰山とは対照的に狭いピークであったが樹林で何も見えないのは同様。ここは地形図記載の山ではないので比較意的新しい手製の山頂標識が1個あるだけだった。

 帰りは赤テープを正確に追ってみたが、おおよそ尾根の西側に薄い踏跡が続いて往路より歩きやすいように感じた。

 縦走路に戻って巻道歩きだが、ここは北寄りの風が比較的強く当たって傘を横向きにしながら歩いた。登山道が尾根の北側を巻いている間は登山道両側には笹藪は無し。どうも南斜面にだけ笹があるようだ。

 1630m鞍部には小さな石仏あり。ここに至るまでに確か2箇所に石仏があったようだ。このルートは長野と秩父を結ぶ古道だったのだろう。1730m鞍部では地形図に出ている林道が登場したが廃林道であった。地形図では尾根の北側のみ林道が書かれているが、実際には鞍部を越えて南側にも続いていて、登山道はそこを利用していた。北側はロープが張られて崩壊が激しく立入禁止とのこと。南側の廃林道も崩壊が進んでいるが歩いて通過する分は支障はなかった。廃林道の斜面側は崖の連続だった。

 廃林道が終わって山道に復帰。今は尾根の南側に回りこんでいるので風が避けられる。大山から南東に落ちる尾根を回りこんでトラバースしながら登り。南斜面に入ったので再び枯れた笹が出現。大山までこれが続くと濡れていてちょっとヤダなぁと考えつつ進む。

 大山山頂の真南を通過してさらに登り、巻道が西へ水平移動に切り替わるところで尾根に乗り移ることにした。幸い、ここは笹はなくシラビソ樹林で体に触れる藪は無し。尾根に乗って東へ逆戻り。倒木はあるが藪はほぼなく概ね歩きやすい尾根だ。ここは目印等は見られなかったので訪問者は少ないようだ。

 やがてシラビソが矮小になり最高点に到着。狭いながら頭上が開けた場所だが人工物は無し。展望もなし。既に5時間近く歩き続けているためここで休憩。山頂より少し南に下れば風を避けられる。ガスっているが雨はいつのまにか上がっていて傘は不要。まだ葉に付いた水滴が落ちてくるが、それもじきになくなるだろう。気温は約10度。朝からほとんど変わらない。長袖シャツを着てその上にゴアを着たがちょっとばかり寒かった。

 帰りはピークを踏む必要は無いので、大山を西に下ってからは縦走路を素直に戻った。この天気なので他に登山者は皆無。たくさんいるはずの鹿も姿を表さなかった。熊がいてもおかしくなさそうだが、無雪期の葉が茂った時期だと形跡を探すのは非常に難しい。天候は基本的には回復傾向だがまだ不安定なようで、薄日が差したと思ったら雨が降ってきたり。でも雨はもう長続きせず傘を出す必要は無かった。

 最後に杉植林帯を抜けて登山口に到着。車は私の1台のみ。先週は登山道の無い山でDJF氏と鉢合わせだったが、今回は立派な登山道がある山で8時間も歩いたのに誰とも会わなかった。

 

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